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優秀なリーダーは「心理学」で人を動かす

部下の能力を120%発揮させ、集団を自由自在に操るテクニック

目次

はじめに
第1章  好かれることが人を動かす第一歩
第2章 人を動かすための5つの「心理パワー」
第3章 「人間の心のしくみ」を知り、思いどおりに人を動かす
第4章 人の「やる気」を巧みに操る
第5章 「叱って」「褒めて」人を操る
第6章 効率よく説得する心理テクニック
第7章 会議をリードし、多数派をつくる心理戦術
第8章 性格モードを知れば人は簡単に操れる

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内容説明

■「第2章 人を動かすための5つの『心理パワー』」より


★人を動かすパワーを仕事の場で発揮するために

●人を動かす5つのパワーを知る

重い荷物を運んだり、持ち上げたりするには力(パワー)が必要ですが、人
を動かすときにも「パワー」は必要です。心理学では、これを5つに分類して
います。

1. 報酬パワー 金銭的、社会的報酬を与えるパワー
2. 強制パワー 自分に従わないときに罰を与えるパワー
3. 権利パワー 約束や契約として相手に対し権利を行使するパワー
4. 関係パワー 相手に好かれ、自分のようになりたいという気持ちを起こさ
せるパワー
5. 専門パワー 専門知識に裏づけられた権威がもたらすパワー

職場で、これら5つがどのように発揮されているか考えてみましょう。

報酬パワー = 上司が部下を評価し、昇給や昇進に影響を与えることができる
のは、報酬パワーがあることの何よりの証明です。周囲がぜひ参加したいと願う憧れのプロジェクトに参加させたり、海外出張を命じることができたり、同僚の賞賛や敬意などの相手が喜ぶ状況を与えることも報酬パワーです。「君の将来のために、できる限りのことをしてあげたい」などと、相手に対する自分の好意的感情を添えれば、人を動かすより大きな力となります。

強制パワー = 上司の命令に従わなかったり仕事に失敗したとき、部下の査を下げたり、嫌な仕事をさせたり、降格・左遷させるなどの与えることができるパワーです。部下は罰を恐れ、命令に従ったり、失敗を未然に防ごうとします。

権利パワー = 上司の職務として、部下の嫌がる仕事や困難な仕事を与えたり、残業や休日出勤を命じることができるパワーです。権利パワーの下では、部下は自分の意志に反することでも、上司の命令に従わざるを得ません。

関係パワー = 上司の仕事ぶりや人間性が部下に尊敬されることによって生ま
れるパワーです。関係パワーがつくり上げられると、部下は「あの課長のためなら、どんな仕事でもやってみせる」という気持ちになります。

専門パワー = その仕事については、誰にも負けない経験・知識・技術を持っており、周囲の人々に情報やアドバイスを提供する形で、間接的な形で周囲に影響を与えるパワーです。

......................................................................

★『自己開示』―― 関係パワーを構築する掟破りのテクニック

●筆者の「自己開示」体験その1 ―― 講義のなかでの関係パワーづくり

ここでは、部下と上司の間で関係パワーを構築するために必要な心理テクニックを紹介していきます。そのテクニックは『自己開示(セルフ・ディスクロージャー)』です。

これは、自分の経歴、悩み、家族のことなどプライベートな情報を、ネガティブな面も含めて相手に伝えるコミュニケーションで、自分のポジティブな部分だけを伝えて好印象を持たせようとするコミュニケーションである『印象管理(インプレッション・マネジメント)』とは正反対の手法です。

私は大学で心理学の講座を持っていますが、学生に対して強制的に授業を聞かせているのではないと思わせるよう、つまり「自分(=学生)は自主的に、
興味を持ってこの授業に参加しているのだ」と思わせるよう、巧妙に複数のパワーを行使しています。

まず、担当科目の内容について、どんな質問にも答えられるように準備しました。これは、私の専門性を学生に示すためです(=専門パワー)が、大学教
員なら当然持つべきもので、学生への影響力はそれほど大きくはありません。

一方、私は学生に単位を与える立場にあり(=報酬パワー)、授業中は自分
の指示に従わせることもでき(=権利パワー)、授業中に携帯電話を使う学生
を部屋から出ていくよう命じることもできます(=強制パワー)。この3つは
かなり強力です。

しかし、これら3つのパワーをあからさまに使うと、学生が反発して授業が
成り立たなくなるでしょう。途中で出席するのを止めてしまう学生が増えるのは問題ですし、私自身の教育能力を問われることにつながります。

これら3つのパワーと専門パワーをほどほどに使い、かつ授業を円滑に運ぶ
ためには、私という人間に対して学生がどの程度パーソナルな興味を持ってくれるかにかかっています。つまりここで、「関係パワー」を活用する可能性が出てくるのです。関係パワーが私と1人1人の学生との間に成り立てば、学生は間違いなく授業に真剣に取り組んでくれるはずですし、途中で脱落する学生の人数も減るだろうと考えたのです。

●筆者の「自己開示」体験その2 ―― 個人的な興味を持たせる

そこで私が使った手法が自己開示です。最初の授業から、私は授業内容とは直接関係のない個人的な情報を小出しにしていきました。学生時代の恋愛の経験や、まったくプライベートなことである妻のことも、出会いから結婚に至るエピソードやいまの生活ぶりを少しずつ話すよう心がけました。

あるときは、特別授業と称して妻(看護学を専攻する研究者で、大学で教鞭
を取っていたこともあります)に講義をさせました。今日の特別講師が私の妻
であることを学生には知らせず、旧姓で紹介をし、授業が終わってから種明かしとして紹介したのです。すべて私の計算尽くの演出ですが、これによって学生たちは私個人に興味を持ったようで、次の授業から学生の私を見る目が変わったように見えました。

次に使った手法が「授業中に寝ていたとしてもいいから、授業に出ていたことを証明するために、個人的な悩みでもなんでもかまわないから書いてほしい」と言って、学生にコメントペーパーを毎日提出させたことです。

次の週の授業ではいくつかのコメントを匿名で紹介し、みんなの前で返事を返しました。「今日は、これから自動車教習所に行って仮免の試験を受けます。
頑張ります」と書いてくる学生がいれば、「この人は、仮免は受かったのかな。次の卒業検定も頑張って下さい」と不特定多数の学生に向かって声をかけたのです。

コメントペーパーの提出は、学生側の自己開示を促進するという意味で大変効果的でした。また、翌週紹介してコメントを返すことで、学生1人1人は、あたかも私と個人的なコミュニケーションをしているような気持ちになってもらえたのではないかと思うのです。

以上のような工夫の結果、私と学生との間にはある種の関係パワーが形成され、実際、受講を途中でやめる学生はごく少数ですんだというわけです。

手前味噌で恐縮ですが、ここで紹介した私の経験は、上手に自己開示を行い、かつ相手にも自己開示の機会を与える、これを繰り返すことで関係パワーが生まれることを示すよい例だと思います。

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