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共働き夫婦がトクする本

ネネちゃんファミリーの得生活レシピ これならわかる!「保険」「税金」「年金」で家計が助かる100のポイント

共働き夫婦がトクする本
著者 高木 隆司
ジャンル ビジネス書 > 税務・経理・法律 > 年金
出版年月日 2002/12/01
ISBN 9784769607861
判型・ページ数 A5・229ページ
定価 本体1,300円+税
在庫 品切れ・重版未定
 

目次

第1章 ネネちゃん収入のアップをめざす
第2章 ネネちゃん手取りのアップ額を計算する
第3章 ネネちゃん健康保険で得しようと悩む
第4章 ネネちゃん老後の年金の心配をする
第5章 ネネちゃん遺族年金の頼りなさに呆れる
第6章 ネネちゃん失業給付をもらえることに喜ぶ
第7章 ネネちゃん住宅ローンを夫に押しつける
第8章 ネネちゃん家族の幸せをかみしめる

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内容説明

■「第1章 ネネちゃん収入のアップをめざす」より


★パート勤めの妻が扶養家族でいるためには★

「イワタさんがさあ、このままだと扶養家族からはずれてしまいますが、どうしますかっていうのよ」

やっぱりね。いつもなら僕が食べているのもおかまいなしに片づけを始めるネネ(妻のニックネーム)が、テーブルの向かいにおとなしく座っているのは、話があるから聞いてちょうだいということだ。

ミカが幼稚園に入った昨年から、彼女はパートに出ている。イワタさんというのは、その勤め先の主任さんらしい。

「就業調整のことじゃないの?」

僕は用心して答える。もう時間も遅いんだけど、長くなるのかな、この話。

「シュウギョウチョウセイ?」

「君とミカはいま、税金のうえでも社会保険のうえでも、僕の扶養家族になっているでしょ。そのことによってある意味、いろいろと優遇を受けているんだ」

「得しているわけ?」

「得? うーん、まあそういうことかな。で、君のパートの年間収入が一定額を超えると、扶養家族からはずれてしまう。それを防ぐために、わざと休みを取って、収入をその範囲内に抑えるってわけ。パートの人は、よくそういうことをしているらしいね」

「ああ、それでこのあいだエミさんたちが騒いでいたのか。で、アナタは私のおかげでいくら得しているの?」

アナタはじゃなくて、私たちはでしょ。

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★パート収入が103万円を超えてしまうと★

「たとえば所得税についていうと、年間のパート収入が103万円を超えると…」

「ちょっと待って」

ネネは、磁石で冷蔵庫にくっついている計算機能つきのタイマーに手を伸ばす。

「私は月給が9万円ぐらいだから…108万円! 突破しちゃうわ。でも103万円って、ずいぶん半端じゃない?」

計算能力はないけど、好奇心は旺盛だね。

「パートは給与収入だよね。給与収入からは、必要経費にあたる給与所得控除というのが引けるの。それが最低でも65万円あって、君自身の基礎控除が38万円ある。このふたつを合わせたのが103万円。ところでワインをもう1杯飲みたいんだけど」

ネネは計算機から顔を上げずに、冷蔵庫のほうを指差す。自分で勝手に飲めということね、はいはい。

「最低が65万円ということは、たとえばアナタはそうじゃないっていうこと?」

「給与収入、つまり給料に応じてだんだん多くなっていく。必要経費という意味合いだからね」

「基礎控除も?」

「基礎控除は、誰でも38万円。だから僕のようなサラリーマンや、君のようなパートの人は、そのふたつを足した103万円までの給料だったら所得税がかからないってわけ」

「じゃあ、108万円だと税金がかかってくるのね?」

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★妻自身に税金がかかってくる★

「そういうことですね」

「いくら?」

「103万円を超える5万円が課税所得だから、その10%の5000円」

「5000円! 5000円の税金のために、わざわざパートを休まなきゃいけないの?
差し引き4万5000円で、充分おつりがくるじゃない」

ふむ、この程度の計算ならできるわけね。

「それは君自身の話で、僕の扶養からはずれる影響のほうが大きいんだ」

それをさっさと説明しなさい、という目つきのネネ。

「扶養家族がいる人は、税金を計算するときに、課税前の所得から扶養控除が引ける。所得がその分少なくなるから、僕の税金が安くなるでしょ」

「えっと、103万円以内だったら私は税金がかからない。しかもアナタの扶養家族になって、さらにお得ってことよね?」

「まあ、そういうことです」

「それが108万円になると、私に税金がかかってくるし、そのうえ扶養家族からもはずれるので、二重に損するわけだ」

「そのとおり。自分で税金を払えるぐらいの収入がある人、つまり君のことだけど、そんな人を扶養しているというのはおかしいでしょ、っていうことだね」

「なるほど、わかる、わかる」

嬉しそうなネネ。

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★配偶者控除が引けると夫の税金が安くなる★

「で、アナタは私を扶養家族にして、いくら得しているの?」

だからさ、アナタはじゃなくて。

「配偶者控除が38万円。配偶者特別控除も最高で38万円。合わせて76万円だから…」

「76万円! アナタは私のおかげで76万円も得してるの?」

「いや、税率は…」

「10%でしょ! わかってるわよ。7万6000円ね。そうか、私自身は税金を取られても4万5000円の儲けだけど、そこから7万6000円も引かれちゃ、たしかに損になるわね」

こういう場合、儲けとはいわないと思うけど、まあ、それは置いておくとして。

「いや、103万円を超えたら、そのとたんに7万6000円、税金が増えるわけではないんだ」

「わからないわねえ、アナタいま、そういったばかりじゃないの。もっとちゃんと説明しなさい」

君が、もっとちゃんと聞いてくれると、助かるんだけどなあ。

「配偶者控除は、定額で38万円。これは扶養の限度を超えたら、たとえば君のパート収入が103万円を超えたら、いっぺんにゼロになります」

「だから、その10%の3万8000円、アナタの税金がいっぺんに増えるんでしょ?」

ホラ見なさい、という顔のネネ。

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★配偶者控除の対象からはずれる妻の収入★

「配偶者控除はそうなんだけど、もうひとつの配偶者特別控除は、定額ではなくて配偶者、つまり君の所得に応じて、段階的に控除額が設定されているの」

「段階的?」

僕はチラシの裏に図を描いた(左ページ参照)。

「特別控除の額は、配偶者の所得が5万円未満、たとえばパート収入にすると
70万円未満だと、最高の38万円。そこから配偶者の所得が増えるにしたがっ
て、段階的に少なくなっていく。配偶者の所得が38万円、つまりパート収入が103万円になると、いったんはゼロになるわけ」

ネネはテーブルを回ってとなりに座り、図をのぞき込む。石鹸の香りがする。
ミカと先に風呂に入ったのかな。

「ところが、そこからまた復活するんだな。たとえば君のパート収入が103万と1円になると、また38万円の特別控除が引けるのさ。そこからまた、だんだん少なくなっていって、最終的に特別控除がゼロになるのは、配偶者の所得が76万円、パート収入だったら141万円以上になったときだね」

「んもう! 収入とか所得とか、ゴチャゴチャにいわないでよ」

はいはい。

「ここでいう所得とは、パート収入から、さっきいった65万円を引いたやつさ。
収入から必要経費を引いた残りだね」

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★配偶者特別控除額は少しずつ減っていく★

ネネが僕の描いた図とにらめっこをしている間に、食事を済まして食器を洗う。
ねえ、使った器はそのつど食器棚に戻そうよ。ネネが無頓着なのか、僕が神経質すぎるのか。

ワインをグラスにもう半分注いで、テーブルに戻る。

「これってさあ、ワタシが103万円を超えても、そんなに損しないんじゃない
の?」

僕の手からひょいとワインを横取りして、そういうネネ。

「そのとおり。たとえば君の収入が103万円ちょうどだとすると、控除額は配偶者控除の38万円だね。それが108万円になったとしても、配偶者特別控除が36万円ある。引ける控除額が2万円減って、税金がかかってくる所得が2万円増えるだけだよ」

「ということは、その10%の2000円、税金が増えるだけでしょ。私に税金がかかってきても、それも5000円なんだから、べつに損なんかしないじゃん」

彼女はワインをほんの少し舐める。

「そういうこと。103万円を超えると、なにかいっぺんに損するみたいに思っている人が多いけど、所得税だけのことをいったら、たいしたことはないね」

「所得税だけって、ほかにもあるのね?」

それを聞こうじゃないのという目で、グラス越しに僕を見るネネ。

「住民税が当然、増えるよね」

「いくら?」

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★住民税の負担も増える★

「うーん、住民税のほうは、僕もよくわからないなあ」

「アナタにも、わからないんだ」

ちょっと嬉しそうなネネ。

「所得税とくらべると、扶養などの控除額が少ないらしいね。だから非課税のラインも、所得税の場合は103万円だけど、住民税のほうは100万円ぐらいだということを聞いたことがあるけど」

「私のパート収入が100万円を超えると、住民税がかかってくるっていうこと?」

「そう。ただし、所得税より税率は低いよ。より多くの人に、広く薄く負担してもらおうという性格があるんだって」

「ふーん。ま、税金の性格なんかどうでもいいわ。要は住民税も増えるけど、所得税ほどは取られないってことね」

「あ…まあ、はい」

その大雑把な性格がうらやましい。

「で、結局いくら増えるのよ」

「さっきの103万円と108万円の例だと、二人合わせて所得税は7000円増えたでしょう。住民税はだいたい、その半分ぐらいじゃないかな」

「それを聞きたかったのよ。半分ね」

「ただし住民税は、翌年度課税だよ」

「いいのいいの、細かい話は。所得税と合わせて、税金はだいたい1万円増えるわけか。よし、なんとかなるわ」

なんとかって、なにをするつもりなのさ。

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